エンジン焼き付き!
(2004.09.19)

 

2004年8月も、恒例の帰省ツーリングで東京〜岩手間を走ったわけですが、帰り道の東北自動車道に乗ってすぐにエンジンが焼き付いてしまいました。

■発生時の状況
よく晴れて、とても暑い日でした。朝8時に実家のある釜石市を出発して1時間半ほど国道を60km/h巡航で走りました。この時点ではまったく異常は感じられませんでした。
やがて高速道に近くなったので、GSで給油。その後、途中まで開通している釜石自動車道に乗り、11km走ったところで東北自動車道に合流しました。
異常を察知したのは東北自動車道を走ってすぐでした。100km/h以上にスピードがあがらないのです。また、普段は100km/h巡航であればエンジンは比較的静かなのですが、このときは少し振動が多く感じました。振動といっても激しいものではなく、ビビリみたいな感じです。
とりあえず100km/hで走って次のサービスエリアでプラグでも見てみようと思った矢先、エンジンがいきなり「ギュン!」と言って沈黙してしまいました。その瞬間に「焼き付いた!」と 感じました。
そのまま空走して路肩に寄せて、キックを踏んでみましたが、ガチガチで動きません。
そりゃそうだろう、と思い、まずは道路公団に故障の連絡をすることにしました。東北自動車道を走り始めてから約20kmの地点です。
この時点で午前10時を少し回ったところでした。

↓故障車


■サルベージ
数十メートルほど戻ったところに連絡用電話があったので、そこから公団に連絡。
車体はできるだけ左に寄せて、搭乗者は道路外に出て待ってください、とのこと。また、ロードサービスの手配はどうしますか、というので損保のサービスがあることを伝え、電話を切りました。
今度は損保会社に連絡。任意保険の特約でロードサービスがあるので、最低でもレッカーくらいはしてくれるだろうとは期待してました。案の定、レッカーは5kmまで無料でやってくれるそうです。5km以上になると1km 500円かかるとのことでした。また、修理できるバイクショップや工場を探してくれて、しかも修理後の陸送が保険金で出るそうです。なんとも頼もしい!(スキッパーが修理できるのか?とは思いましたが)
まずは業者の手配をお願いして、連絡待ちとなりました。
しかし暑い。日陰もない。ジュースくらい持っていればよかった。次からは高速道に乗るときはかならず飲み物を持つことにします。

↓こんなのどかな場所・・・しかし日陰がない


しばらくして損保会社から電話がありました。お盆中なので近隣のバイク屋さんは全部休業だそうです。やっぱり〜。以前もパンクで同じ目に合いました。
じゃ、どうするの、と思ったら、電話の向こうのおねーさんも「どうしますか?」と突っ込んできました。
陸送で保険が効くならこのまま陸送したい、と言ったら、とんでもない返事が返ってきました。
「修理後の陸送でないと保険の対象になりません」
なんじゃそりゃ???
どうも私には保険屋さんの理屈はよくわかりませんが、こういう手合いには押し問答しても感情的になっても無駄なことは豊富な人生経験で知り尽くしているので、攻め方を替えてみることにします。
レンタカーを借りて運んだらどうなるのか?と聞いてみました。その場合は本人の帰宅費用として扱われて、列車や飛行機なら2万円が上限だけどレンタカーは3万円まで出る、とのこと。
なんでレンタカーだと上限が上がるのかよくわかりませんが、渡りに舟ということでレンタカー案に決定しました。
保険屋さんとの話は着きましたので、次はレンタカーの手配です。
携帯のiモードでニッポンレンタカー(どこでもよかったんですが)の営業所を探したら、一番近いのは北上駅前営業所と分かりました。で、電話したところ、「クルマが空いてません」と言われました。そりゃあお盆シーズンですからねー。でもレンタカーは営業所間で融通し合う事がよくあるを知っていたので、とにかく探してくれ、とお願いして返事待ちとなりました。
案の定、5分もしたら電話が来て、「夕方4時ならバンが1台空きます」とのことでした。最初から断るんじゃねーよ!(でもジャパレンのおじさんは後でスキッパーの積み込みを手伝ってくれたので許す)
運送の目処が付いたので、また保険屋に電話してレッカーの行き先をニッポンレンタカーの営業所だと伝えたところ、やっとのことでレッカー出動となりました。
ここまでのやり取りで約30分。まあ上出来でしょう。でも暑いよ〜!という状態。

やがて公団のパトロールカーが来ました。
彼らはパイロンを置いて、バイクの車名とナンバーを控えるとさっさと去って行きました。

↓公団のパトロールカーとパイロンを持って歩く公団職員さん


やがて午前11時を過ぎました。レッカー車はまだ来ません。
また損保会社から電話が入りました。このおねーさんとは今日はもう4回くらい電話で話してます。そろそろフルネームを聞いてもいいかな?(爆)
何の話かと思ったら、レッカー車が渋滞で遅れているそうです。何時に着くかわからないみたいです。私は「昼メシを食う口実に違いない!」と直感しましたが、どうしようもないのでハイハイと言って電話を切りました。

そのあと待つこと1時間。
やっと来ましたよ、レッカー車、というよりは運搬車って感じでした。荷台全体が傾斜して車を乗せられるようなトラックです。

↓この写真は降ろすところです


スキッパーを荷台に積んで北上駅前まで運んでもらいました。ニッポンレンタカーに到着したのが午後0時半頃でした。
レッカーした距離は13kmなので8km分が有料ということになります。それは後日請求書が届くということでした。

ニッポンレンタカーの営業所で電話でやり取りしたおじさんに会って、クルマが来るまでの間スキッパーを置いてもらうことにして、あとは適当に時間を潰すことにしました。
駅前のスーパーに入って、休憩コーナーでジュースを飲む、飲む、飲む・・・・。1リットルくらい飲んだかも。それから昼食。その後はパチンコでもやって時間を潰そうかと思って駅前をぐるりと一周しましたが、なんとパチンコ店がありません。田舎ではパチンコ店は郊外に あるものなんですね。結局スーパーの休憩所でボーッとして時間が経つのを待ちました。
その間にスキッパーを固定する紐が必要だな、と思い、スーパーの中に出店していたダイソーで100円の荷造り紐を買いました。

やがて午後3時が過ぎた頃、ニッポンレンタカーからクルマが着いたとの連絡を受けました。
クルマはトヨタのハイエースのバンでした。これなら何度か運転したことがあるので問題なしです。
早速スキッパーを載せようとしたら、ジャパレンのおじさんがさも当然と言わんばかりに手伝ってくれました。二人がかりだとラダーレールなしでも楽勝です。

↓紐であちこちに固定した様子


このとき、スタンドの固定に使っている船舶金具も使いました。運搬時にセンタースタンドが固定されていると非常に安心です。
午後4時頃に北上駅前を出発。順調に運転して東京に到着したのは午後11時半でした。
スキッパーを降ろすのは一人でやりましたが、かなり気合が必要でした。
ところでレンタカーの代金ですが、バンを24時間借りるのは2万円もかかりません。しかし岩手で借りて東京で返す、いわゆる「乗り捨て」だと別料金がかかります。今回はなんと3万5千円でした。合わせて5万5千円 弱・・・保険の3万円から大幅に足が出ることになりました。


■故障の確認
トラブル発生時は「焼き付き」と考えていましたが、何の裏づけもなかったので、実際に各部を開けてみて確認します。

まずオイルポンプベルトが生きているかどうか確認するために駆動系をばらします。
また、駆動系のナットの緩みが原因でエンジンがロックすることもあるそうです。
フロント側のプーリーには、ベルトが激しく擦れた跡が残っていました。これはエンジンがロックした証拠です。

↓フロント側のプーリー


↓オイルポンプベルトは無事でした。


駆動系には異常はなさそうなので、次にシリンダーヘッドを開けます。

↓コイル、CDIを外し、エンジンのプラカバーを外したところ
 エンジン下にオイルが漏れてます。初めて気づきました。


↓シリンダーヘッドの裏側。ここからオイル漏れしたようです。
 オイル漏れ自体はトラブルには関係ないと思われます。


↓シリンダーとピストン。ピストンの上面中央部が溶けてます。
 またシリンダー内面に焼き付きの跡があります。


↓アップ


ピストンが溶けていることから、デトネーションが発生して、それが元で焼き付いた可能性が高そうです。デトネーションですか・・・・ひょっとしてガソリン?と思い当たったのは後日のこと。
今回のツーリングから、ガソリンをレギュラーに換えてみたのでした。モノは試し、くらいの気持ちでしたが、代償は大きいですね〜。
また、ガスが薄かった可能性もありそうですので、キャブのメインジェットも交換することにしました。

■シリンダー/ピストン交換
マロッシのボアアップキットを買って、シリンダーとピストンを交換します。

↓またお会いしましたねって感じです。


↓コイルの台座は最初のボアアップの時にペンチで上に向けてあります。


↓エキパイを外した後、シリンダーを抜くところ。スムーズに抜けないので、
 2stオイルを内部に塗り ながら、何度も前後させて徐々に抜いていきます。
 シリンダーブロックが上のフレームに当たる場合は、リヤサスを少し沈ませて
 抜くと良いです。


↓ピストンがむき出しになったところ。ピストンを横に貫通しているピストンピン
 が固着して抜けません。ラチェットに10mmのソケットを付けてピンの頭を
 叩き続けたらある程度動くようになりましたが、そこまででした。
 かなり手ごわいです。これだけで2時間くらい苦戦して、この日は終了。


↓今週の秘密兵器、Cクランプ。東急ハンズで800円弱。仕事帰りに買ってきて、
 深夜まで敗者復活戦です。写真左から10mmソケットを咬ませて押し込み、
 右側にはモンキーでゆとりを作って押し出す戦法でリベンジ。
 これでなんとかピストンピンの押し出しに成功しました。


↓むき出しになったコネクションロッド。錆びてます。


↓新しいピストンの取り付け。三角マークが下を向くようにします。ピストンリング
 は上面/下面が決まっているので注意が必要です。説明書に絵があるので
 上下の識別方法はすぐわかります。 


↓シリンダーブロックを取り付け。ピストンを通すときはピストンリングを手で
 狭めながらゆっくり少しづつ入れていきます。シリンダー内面にあらかじめ
 2stオイルを塗るのを忘れずに。


このあとシリンダーヘッドを被せてナットを締めますが、ナットをいきなり強く締め付けずに、軽く締めた状態でキックレバーでピストンを数回上下させて芯出しをします。そのあと、ナットを規定トルクまで締め付けます。
あとは元の状態に組み上げれば交換完了です。

↓焼き付いたシリンダー。メッキが剥げまくり。不燃ゴミです。


↓ピストン。これも不燃ゴミ。



■キャブのメインジェット交換
ボアアップしたときはキャブのメインジェットを#10くらい大きくしたほうが良い、とアドバイスを受けまして、早速実践したいと思います。
スキッパラーさんからの情報で、デイトナのストマジ/アドレス110用のセットが使えるということですので探しに行ったところ、在庫は110用がありませんでした。アドレスVチューン用が番手的に使えそうだったので、それを買ってきました。
ちなみにこのジェットは「ミクニ丸型特大タイプ」と呼ぶことも初めて知りました。スキッパラーさん、感謝です。

↓#70、75、80、85、90、95のセット。スキッパー純正は#82.5


↓さっそくキャブをばらします。


↓派手にガソリンが流れ出てきたので、モンキーではさんでベルクロテープで
 フレームにくくりつけます。ベルクロテープはメットインの常備品のひとつです。


↓ニードルを抜くところ。メインジェット交換には無関係なのでアクセルワイヤ−
 は外しません。


↓キャブ本体が外れたので、ドレンプラグを緩めてフロートチャンバー内の
 ガソリンを抜きます。ドレンプラグはホースのすぐ上に付いてる小さなネジです。


↓ガソリンが抜けたら本体を分解します。


↓内部はきれいでした。真ん中にメインジェットがあるので、これを交換します。
 今回は#95に換えました。あとは元通り組み立てます。
 ゴミが入らないように特に注意します。私はOA用のエアスプレーを使って
 ゴミを飛ばしながら作業しました。


メインジェットがマッチしているかどうかは走ってみて確認する以外にありません。
シリンダーキットを交換したばかりなのでいきなり全開走行するわけにもいきませんので、しばらくは様子見ということになります。「明らかに濃い」という現象が出れば、むしろその方が安心なんですが。

■おまけ〜オイルポンプの調整
今回の焼き付きはデトネーションが原因ということで、オイルはあまり関係なさそうと思っていたのですが、念のためオイルポンプをチェックしてみました。
そしたら0(ゼロ)位置からかなりずれてました(汗)。

↓クラッチケースの丸いゴムを外して覗いてみます。
 0位置の指標が9時と10時くらいずれてます。うひゃー。


↓このナットで0位置を調整できます。8mmミニスパナがあると便利。


↓ちゃんと合いました。これが普通の状態。


■その後
ここまでの作業で、一応走るようになりました。
MJ#95はかな〜り濃い感じ。ここから落としていけばよいので、GOODですね。
バッチリ決まったら総括することにします。
 

<戻る>