スキッパーと兄弟たち
(2002.12.11)
(2002.12.15 改訂)

(2002.12.31 改訂)
 

すでに生産中止から数年経つスキッパー ですが、その遺伝子は新しいスクーターに引き継がれています。


■PIAGGIO SKIPPER
まずはスキッパーから。Mk.Iとも呼ばれる初期型は1993年から1995年まで生産されたタイプを指します。後期型(Mk.II)は1996年ごろから1998年の生産終了までのタイプです。
Mk.I、Mk.IIとの呼称はピアジオが正式に付けたものではなく、イギリス市場での通称のようです。いかにも英国式な呼び方です。初期型と後期型の相違点は 残念ながら私にはわかりません。私のスキッパーは購入時期から初期型のようです。
ヨーロッパではそれなりに人気があったと思われ、スキッパーのワンメイクレースも行われたようです。このあたりはTaffspeed RacingのサイトからスキッパーのTuning Infoを読まれると当時の「熱さ」が伝わってきます。
スキッパーの興味深いところは、当時の他のピアジオ製スクーターがおおむね50/80/125とラインナップされていたのに、スキッパーだけ125/150というラインナップだということです。案外、同じ93年に発売されたZip50が弟分だったのかも知れません。
その後、125ベースのエンジンに150以上のラインナップを追加する方式は、ヘキサゴンやランナーにも踏襲されています。
スキッパーの足回りは10インチの小径タイヤに、フロントはトレールリンク式モノショックという、スポーツ性を欠いたシステムです。スタイリングを見ても特にスポーツ走行を意識したような点は見受けられません。
それにもにもかかわらずレースに駆り出されてしまった理由は、ひとえに強力なエンジンにあると思います。乗った人ならお分かりでしょうが、2ストロークエンジンの味が上手に引き出され、スクーターのお手軽操作と の相乗効果で、発進から高速域まですばらしい加速を見せてくれます。思わず「お、コイツは走るワイ」と頬が緩んでしまうのです。
スキッパーは最後期にはSKRと車名が変更されました。4ストロークモデルも発売されたようですが、日本には輸入されずに終わったようです。

補記:スキッパーの最新モデルSkipper125STは、4ストローク・12インチホイール・フロント倒立サスなど大幅な変更を受けて、海外で販売されているようです。車名もSKRからSkipperに戻っているんですね。
私としてはフットボードがフラットでなくなっているのがとても残念。ここに荷物を載せれるからこそ、スクーターは便利なのだと考えています。最近はフラットでないスクーターが増えてきましたね。
(補記はKa10さんから頂いた情報を元にしております。ありがとうございました。)

補記2:この記事のために少ない資料を何度も検討してみると、スキッパーというスクーターはピアジオのラインナップの中では突然変異のように現れたもののような気がしてきました。
あらためてピアジオ社の歴史をWebサイトで調べてみると、1990年代前半は、ピアジオ社がベスパやモペットなどクラシックスタイルのギア付きスクーターに偏ったラインナップを見直し、VCTや分離給油など現代的な機能を持ったスクーターを投入し始めた時期のようです。
スキッパーは新しい戦略の中でミドルクラススクーターの尖兵としての役割を担っており、先行していたスフェラ50/80のデザインを継承し、新設計のエンジンを登載して登場したのではないかと想像します。(2002.12.31)


■PIAGGIO TYPHOON 125
タイフーン125はスキッパーと販売時期が重なる1995年に投入された2ストロークスクーターです。 タイフーンの50cc/80ccモデルは1993年と1994年に先行して発売されており、これらのコンセプトを基にして125ccクラスが設計されたのでしょう。
フォルムは鋭角的で、フロントサスペンションは倒立フォークというスポーツ性の高いデザインですが、同系列の空冷エンジンを搭載しており、前後とも10インチホイールであることから、4ストローク化された新型スキッパーSTよりも、タイフーンシリーズの方が初期型スキッパーに近いと言えます。
おおよそスキッパーと同等の性能と考えられますが、倒立フォークのフロントは快適な走りに貢献してくれそうですし、折りたたみ可能なタンデムステップやシートのグリップベルトなど、細かい点 まで配慮されてやや高級感が増しています。
フォークになったためか、コンソールにはグローブボックスが見当たらないようです。
また、タイヤは前後とも120/90-10となり、ホイールは同径ながらスキッパーより一回り太い幅広タイヤを備えています。
スキッパーの車名がSKRと改名されたのと同時期に、タイフーンはTPHと改名されたようです。
現在は最新型を(株)ベスパより購入できるとのことです。
ちなみにタイフーンには50cc/80ccモデルもありますが、当然ながらエンジンは全く別物と思われます。
(この項、Ka10さんから頂いた情報を元にしております。ありがとうございました。)


■PIAGGIO HEXAGON
スキッパーから1年ほど遅れて発売されたヘキサゴンは、ある意味でスキッパーの正常進化型と言えるかと思います。デザインと相反するスポーツ性でウケてしまったスキッパーと比べて、ヘキサゴンはよりカジュアルな方向へ進化しているからです。
ホイールベースを広げてゆったりとした居住性を確保し、スキッパーのエンジンを水冷に変更して登載したヘキサゴンは、当時ヨーロッパで人気だったHONDAのフュージョンへの対抗車種でした。
カタログデータによれば水冷化されたエンジンは同排気量のスキッパーと比較して1馬力程度のの余力を生み出したようです。大型化することで138kgまで重くなった車体も、このエンジンに助けられて快速スクーターの名を欲しいままにしました。
ヘキサゴンは2ストロークの125/150/180モデルのほか、4ストロークのラインナップもあるようです。
日本では正規代理店以外に、販売店大手のレッドバロンなどが並行輸入したため、正規輸入ルートの代理店や販売店では「不人気車両」扱いとなっています。
今でも東京では時々見かけますが、国産や台湾製の250クラスのスクーターのイヤに大きな図体を見慣れてしまうと、ヘキサゴンはとてもスリムでコンパクトに見えます。
独特の曲面を持ったフロントのマスクも私は結構好きです。


■GILERA RUNNER
1997年に水冷2ストローク125モデルが発売され、長い人気を誇る純粋なスポーツスクーターです。ランナーをスキッパーの兄弟と呼ぶのは、いささか乱暴な気がしますが、私の主観ですので多めに見てやってください。
ヘキサゴンが、スキッパーのデザインをカジュアルな方向へ進化させたモデルだとすると、ランナーはスキッパーの強心臓をスポーツ走行に最適化させたスクーターだと思うのです。
実際のところ、ひと目クランクケースの形状を見ただけで、ランナーの2ストロークモデルはスキッパーの血を引いていることがわかります。実際、ランナー用の駆動系パーツの多くはそのままスキッパーに流用可能だと聞いています。
この辺の事情については、今後できるだけ取材して情報を集めたいと思っています。現行車種とのパーツの互換性は、スキッパーの維持には必須の情報だからです。
ランナーそのものについては、ここでは多くを語る必要はないでしょう。


■APRILIA SR125/150
唐突にアプリリアの名前が挙がってしまいました。
私も驚いたのですが、アプリリアの人気スクーターSR(RSじゃないですよ)は、なんとそのまんまスキッパーのエンジンを搭載しているのです。
マロッシ製の172ccボアアップキットは同じ型番の製品がSRにもスキッパーにも対応しています。私もSRを扱っているショップで同キットを購入し、スキッパーに載せました。
これはスキッパーのオーナーにとっては大変な朗報です。エンジン周りのパーツなら、SRを扱っているお店で注文できるわけです。もちろんプーリー周りやマフラーなどのカスタムパーツもイケる可能性大です。
SRは、まさにスキッパーの生まれ変わりではないでしょうか?
しかしながら、そのSRも4ストローク化の波に呑まれる運命にあるのか、製造中止のうわさがチラホラとささやかれているようです。


※本稿につきまして、ご意見や何らかの情報をお持ちの方がいましたら、メールや掲示板にてご教示いただければ幸いです。改訂して、より充実した記事にしていきたいと考えております。
 

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