スキッパー
は現在は国内販売されていませんので、新しくスキッパーのオーナーとなる場合は中古車を入手する以外に方法がありません。
特にネットオークションを通じて売買したりする場合には、購入後に困ることがないように事前に情報を仕入れておくのが望ましいと思います。
ここでは、中古スキッパーを購入する際に知っておいた方がよい知識を整理しておきたいと思います。
■スキッパーの新車販売ルート
2stエンジンのスキッパーはイタリアのピアジオ社で1993年に発売され、マイナーチェンジしながら1998年まで生産されました。この後、スキッパーと呼ばれる車種はエンジンを2stから4stに変更して現在もラインナップされています。
日本に輸入されたのは2stモデルのみで、90年代後半には新車はほとんど店頭から姿を消していたと推測されます。
日本国内での販売ルートは、国内の販売権を「正規輸入代理店」が取得してメーカーから輸入し、「販売店(バイクショップ)」に卸売りするようになっています。
正規輸入代理店を通さずに別の業者が国外で買い付けた車体を輸入してショップへ卸すようなケースを「並行輸入」と呼びます。
並行輸入の車体は正規代理店扱いの車体より安く売られることが多く、ユーザーとしては好ましい面もありますが、サポート体制が十分でないこともままあるようです。
私が知る限り、2stスキッパーに関しては並行輸入の車体は見受けられないようです。
スキッパーの正規輸入代理店は成川商会です。成川商会はヴェスパを含むピアジオ車、ジレラ車の輸入の老舗です。
成川商会を経由した車体には、どこかに「NARIKAWA」と書いたシールが貼ってあるのが普通ですが、外装パーツを交換した際にシールがなくなってしまうこともあります。二輪車登録証に記載されている車体番号を成川商会に問い合わせすれば、確実に正規輸入品かどうかがわかります。
■中古購入する場合に気をつけたいこと
中古のスキッパーを個人売買や解体屋さんから譲り受けるようなケースでは、以下の点に注意したほうがよいでしょう。
(1)購入後に整備や部品調達を引き受けてくれるショップが自分の周囲にあるかどうか。
これは相手側ではなく自分の側の問題です。中古で買ったスキッパーがノートラブルで何年も走ることは「まれ」です。いざというときに困らないように、信頼できるお店を探しておきましょう。
成川商会のホームページから販売代理店を探せます。また、代理店リストに乗っていても、「もう輸入車は扱ってませんよ」というお店もたまに存在するようです。
できれば電話するか訪問するかして、お店のスタンスを確認してください。
(2)乗るつもりなら「ジャンク」は避ける。
「ジャンク」とか「ノークレーム/ノーリターン」とうたってネットオークションに出品されているような車体は、持ち主が手に負えなくなって処分する意味合いが濃いと考えるべきです。部品取り用の車体としてならかまいませんが、「直して乗る」なら相当の修理費を覚悟する必要があります。故障箇所が多い車体はできるだけ避けましょう。
(3)実車を確認する。
中古車は1台1台状態が異なる「ナマモノ」です。必ず実車を見に行き、試乗してみましょう。試乗されてもらえない場合は、買わない方が賢明です。
エンジンが掛かるだけで安心せず、かならず実車を試乗して不具合を確認し、購入後の修理費を計算に入れて判断しましょう。
ちなみに調子の良いノーマルスキッパーでは体重が90kg近い私が乗っても長い直線ならメーター読みで100km/h出ます。最高速が60km/hなどという代物があったら、走ったとしてもそれは故障車です。
(4)書類を確認する。
中古車を個人売買する場合は、書類が揃っているかどうかも確認が必要です。
次の2点はかならず受け取ってください。
・廃車証明
ナンバープレートと原付登録証を市役所などに返納すると、廃車証明という書類がもらえます。ナンバープレートなしの車体を個人売買するのであれば、かならず廃車証明を受け取ってください。廃車証明がない場合、登録することが可能かどうかわかりませんが、仮に登録できたとしても余計な苦労が多いはずです。
廃車の届出を前オーナーではなく購入した人が代行する場合は、前オーナーの署名・捺印のある委任状が必要になります。委任状の書式は市役所などでサンプルを見せてもらえますので、ワープロなどで作成して前オーナーから署名・捺印してもらいましょう。
・譲渡証明
登録を届け出るときに、廃車証明は前オーナーの名義になっていますから、前オーナーの同意を得て譲り受けたということを書類にして提出する必要があります。
役所に書式のサンプルがありますので、それを事前に見せてもらってワープロで作成し、取り引きの際に前オーナーから署名・捺印してもらえばよいでしょう。
■修理したらいくらかかるか?
故障を承知でスキッパーを購入する場合、その修理費を国産車と同じ程度で見込んでいたりすると後でびっくりすることがあるかも知れません。
私の数少ない経験の中から、主だった故障の修理費を上げておきます。ただしこれはあくまでも一例であって、実際にはそのときの部品の入手状況(バラかアセンブリか)やお店の工賃によって相当変動するものと考えてください。
(1)シリンダー焼き付き
シリンダーブロックとピストンを新品交換すると、部品代で5万円以上かかると思われます。純正にこだわらなければ、マロッシなどのボアアップキット(172cc)が4万円前後で入手できますから、その方がお得といえます。
工賃に関してはお店によって異なると思いますが、ボアアプキット組み込みの見積もりで4万円と言われたことがあります。これは高いほうだと思いますけど。
(2)クランク軸交換
クランクシャフトはアセンブリで3万円くらいです。交換に掛かる工賃は、エンジンを降ろしてクランクケースを割るため、数万円掛かっても不思議ありません。
(3)クランク軸のベアリング/オイルシール交換
ベアリングが純正で一個5200円、オイルシールは一個2500円だそうです。工賃はおそらく(2)のクランク軸交換と大差ないと思います。
(4)駆動系
ドライブ側プーリーハーフがアセンブリで18000円、外側のプーリーフェイスが単品で1万円、ドリブン側のクラッチアセンブリが42000円します。
その他消耗品として、Vベルト・ウェイトローラーがあります。
工賃はやはり高い店の例になりますが、駆動系の分解は2万円と言われたことがあります。
(5)フロントブレーキ
フロントブレーキは大きく分けてマスターシリンダーとブレーキキャリパー、それにブレーキディスクの3つのアセンブリから成ります。いずれも現在は消耗品以外のパーツはアセンブリでしか手に入らないようです。マスターシリンダーASSYは2万円、キャリパーは2万円、ブレーキディスクは15000円になります。
この辺は工賃は不明です。もともと作業しやすい位置にあるのでエンジンや駆動系ほどはかからないとは思うのですが、確かなことは言えません。
(6)キャブレータ
キャブレータに関しては、ニードルキットおよびガスケットセットが個別に取り寄せ可能なはずですが、2002年に私が注文した際は、ガスケットセットは届きましたがニードルキットはなしのつぶてでした。
全体としてはキャブ本体がアセンブリで32000円、オートチョークユニットがアセンブリで2万円します。消耗品は2〜3000円程度です。
工賃は不明ですが、後部の外装をほとんど全バラしにしないと作業できないので、それなりに高く取られるのではないかと推測します。
(7)タイヤ回り
タイヤを純正で入手しようとすると、リヤ15000円、フロント14000円します。チューブは1500円でまあ安いです。ミシュランS1はまだ普通に入手可能なのですが、国内代理店のラインナップからはフロント用の100/80-10というサイズはなくなっています。
私が最近入手したものはミシュランS1でフロントは90/90-10、リヤは純正と同じ110/80-10で、前後合わせて15000円くらいでした。タイヤ専門店ならさらに安いと思います。
タイヤ交換の工賃は、輸入車でも国産と同じ設定みたいです。(そりゃそうだ)
(8)電装系
電装系でトラブルのがCDIとレギュレータです。エンジンが掛からない/止まる症状が頻発したらCDIがアース線付きかどうか確認しましょう。アース線付なら交換した方が無難です。CDIは16000円なり。
また、ライトの球がすぐ切れるとか、ヒューズがすぐ切れるなどの症状が頻発したらレギュレータを疑いましょう。レギュレータは2万円なり。
(9)外装
外装パーツに関しては、私も3つばかり注文してみましたが全て入手できませんでした。部品取り車を確保する以外にないと思います。
ざっと思い当たる箇所を上げてみました。
パーツの価格についてはパーツリストを参考にしましたが、すでに改定されている場合もありますので目安程度に考えてください。
■最後に
スキッパーは輸入車ですので、部品が国内に在庫されていなければ本国発注となり、運がよければ2週間くらいで海を渡って到着します。運が悪いと半年経っても届きません。
輸入元も現行車種についてはそれなりにパーツを在庫していますが、スキッパーのような型落ち車種については、消耗品と性能部品くらいしか国内在庫していません。
スキッパーと付き合っていくには、こうした事情も踏まえて、気長に待つとか、潔くあきらめるとか、適当に互換品で間に合わせるとか、柔軟に対応していく必要があります。
私もあれこれと苦労しながら、不慣れながらもできるだけ自力メンテでスキッパーを維持してきました。実はこのサイトのタイトル「わんぱくスキッパー」と言うのも、「手のかかるヤツ」という意味を込めています。
今ではすっかり私の日常の足として馴染んでいて、近場の買い物から高速道路でのツーリングまで付き合ってくれる良き相棒です。
東京を走っていてもそうそう見かけることのない車体ですので、個性的という点では文句なしです。でも誰もそんなことに気づいてくれませんけど。
これからスキッパーに出会うみなさんが、良い車体にめぐり合えるよう祈ってやみません。
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